【三碧木星&五黄土星】水に請えなく 蝦夷りんどうに添う 恋愛事情

   鷹の爪

 

今夜は、和食料理店へご一緒させてもらう。市内にこんなお店があるのかと感心しながら、後ろについて路地の奥へと進む。ナミは誰かと夜の街に繰り出すなんてことは、職場の食事会以外出没することは無い暮らしであった。

 

人一人しか通れない細き竹のある小径である。そういえば、タケノコはぐんぐん成長し、秋を迎える頃には、親竹を超える程になるんだったことを思い出した。タケノコが旬を迎える頃は、親竹もくたびれるようだ。時過ぎて仲秋の頃には元気になり、若竹と共に青々とした葉をつけるらしい。ナミは「人も同じだね。子に吸われて仕事を全うし、自身の花も枯れたかな!でもさ、今夜は少し違うぞ!」などと、ぶつぶつ思っているうちに、三畳半ぐらいのお部屋に案内された。

 

メニューはおしゃれな名のついた七草のようではあったが、大したことがないとは言えないし、・・まぁ、こんなものかと・・子たちは言う「おかあさんのごはんが一番おいしい。」最高、これぞシングルマザーの鏡やと自負しているナミだから当然かな。お稲荷さんだって、油揚げを買ってきて、油抜きから始めるからな。・・うまい。当たり前の事や・・。

 

三碧さんは京都で仕事をしていた時期もあり、出張先が京都の場合は出番だと言っていたから、尚更、口は肥えているはず。帰り際「今度は美味しいところを探しますから」と言っていたので、首を縦に振ったナミである。次回、落ち合う日は後で連絡しますとの事。複雑な心境なのである。子にも、もっと恐ろしいのは職場。女の勘は猛獣より鋭い、かまをかけられる、嘘が苦手で、ついつい顔に出てしまう弱点がある。「渡さんこの頃少し?じゃない?」と陰で言われているかも知れない。

 

職場内で本当にあったこと。結婚している男性保育士と独身女性の怪しい行動が、園長まで通じてしまったというちょっとした事件となったのである。理由は・・保護者たちの「うわさ」。口に戸は立てられないと言うではないか!

 

車から降りようと体を動かしたはずが、とんでもない ことをしていたナミ?三碧さんの左ほおに「チュッ!」と。魔が差したとしか言いようがない?想定外の、しかも無意識のうちにやってしまった、取り返しのつかない事を?

 

ナミは仕事柄「うんうん!大好きチュッ!ぎゅ」は高度なしかも自然な保育の一つなのである。アーァ↓!ただの弁解だ。なにしているの。

 

唐辛子は上を向いて実がつくことから、猛禽の爪のように見えてしまう、秋に完熟すると真っ赤になる。吊るしておくと日に日に辛く赤くなるという伝来のルーツを思わせる名前。

 

秋の野山にさく花のひとつ、「竜胆(りんどう」は芒に囲まれても、凛としている。竜胆は、日が翳ると花は閉じてしまう。花入れに竜胆だけを生けたいものよ。

 

つづきます。